2012年06月29日

日清オイリオグループ 第3回在宅介護事情調査 節電の今夏、ポイントは「水分補給」と「涼しい場所の確保」 ~介護士・ヘルパーの86%が「体温・室温調整」に不安感~

日清オイリオグループ株式会社   http://www.nisshin-oillio.com

日清オイリオグループ株式会社(社長:今村隆郎)はトロミ調整食品などの高齢者・介護対応食品を製造・販売しております。2011 年より定期的に行っている在宅介護事情調査の第3 弾として介護士・ヘルパーの方々を対象に、「節電が必要になる今年の夏、在宅介護で注意するべきこと」に関する調査を実施いたしました。
その結果、今年の夏の在宅介護で最も不安に思うことは、体温・室温調整であり、こまめに水分を飲ませるなど、基本となる水分補給と涼しい環境づくりがポイントになりそうです。

● 節電の夏、介護に関わるうえで例年より不安に思うことのNo.1は「体温・室温調整」今年の夏、介護に関わるうえで不安に思うことの1 位は「体温・室温調整」(86%)、2 位は「熱中症」(81%)、3 位は「水分補給(脱水)」(78%)でした(図1)。例年の夏場の介護で注意していることの1 位は「水分補給(脱水)」(92%)、次いで「体温・室温調整」(70%)となっており(図2)、今年は節電を受けて「体温・室温調整」を最も心配していることが分かりました。

●「体温・室温調整」のポイントは「水分補給」と「涼しい場所の確保」夏場の介護における体温・室温調整について、ご家族への具体的アドバイスとして「水分補給」(93%)と、「涼しい場所の確保」(80%)の2 つの回答が80%を超えました。3 位は「洋服の素材を工夫する・着替え易い服装にする」(54%)となっており、介護士・ヘルパーは夏場の暑い季節、衣服の問題より、まず脱水予防としての水分補給、そして涼しい場所の確保を重視していることが分かりました (図3)。

●「体温・室温調整」の困難な理由は要介護者本人の問題に加え、居住環境や経済力の問題も介護士・ヘルパーの75%が体温・室温調整について、「工夫をしているが困難、あるいは工夫したいが実際にできない」と回答しました(図4)。その理由は大きく分けて4 つありました(表1)。

◆要介護者(注1)本人の問題(暑さや寒さの自覚が無い、エアコンが嫌い、独居生活で管理できないなど)
◆居住環境の問題(エアコンの取り付けや涼しい場所の確保が困難など)
◆ご家族の問題(体温・室温調整の大切さの認識不足など)
◆経済的な問題(エアコンの電気代の捻出が難しいなど)
要介護者本人の問題だけでなく、生活環境も大きな要因になっていることが分かりました。
(注1)要介護者:介護が必要な人、介護されている人のこと
● 水分補給に対するご家族へのアドバイスは「こまめに飲ませる」「手の届くところに水分を置く」体温・室温調整に対して基本となるのは水分補給ですが、介護士・ヘルパーからのアドバイスの1 位は「こまめに飲ませる」(80%)、2 位は「手の届くところに水分を置いておく」(62%)となっていました(図5)。高齢になると「トイレが近くなるので嫌がって(水分を)飲まない」「のどの渇きが分からない」など、水分補給に対する問題が多くなります(表2)。そのような状況であることをふまえ、ご家族が要介護者の水分補給に気をつけてあげることが今年の夏のポイントになりそうです。

【まとめ】
今年のように、節電が必要となる状況で介護士・ヘルパーが不安に思っていることは体温・室温調整で、特に水分補給と涼しい場所の確保を重視していることが分かりました。しかし、要介護者本人の自覚や、居住環境、経済的な問題などにより、思うように調整できない現状も明らかとなりました。今年の夏の在宅介護では、いかに水分補給を行い、涼しい環境を作ることができるかが大きな鍵となりそうです。

【専門家のコメント】
赤羽 克子(あかば かつこ) 聖徳大学 社会福祉学科 教授
専門分野:介護福祉学
「夏の介護は、水分補給と体温・室温調整が重要な課題です。高齢者はのどの渇きや暑さ・寒さを感じにくい方も多いため、専門家でも調整が困難です。特に水分補給を怠ると脱水により思わぬ病(脳梗塞など)を引き起こすことがあります。3 度の食事と10 時・15 時の間食で各200ml 程度の水分補給(最低でも1,000ml/日)の確保が大事です。
更に、食事の際に汁物や果物をメニューにとり入れたり、水筒やペットボトルなどを準備し、要介護者がこまめに水分をとれる環境を作る必要があります。嚥下困難(注2)がある場合はトロミ調整食品を上手に活用しましょう。
室温調整に関しては、エアコンが使えない場合、窓を開け通気性をよくしたり、扇風機の利用など室温が上がらない環境を作りましょう。衣類の通気性も重視するといいと思います。」
(注2)嚥下困難:水分や食事を飲み込むことが難しい状態

【調査概要】
■調査実施日 :平成24 年6 月7 日(木)~6 月10 日(日)
■調査方法 :PC 調査
■調査対象者 :全国18 歳以上の専門職員(介護士・ヘルパー)
65 歳以上の要介護者の在宅介護に関わっている方100 名

【調査結果】
<節電の夏、危惧されること>
「今年の夏も節電が必要になると言われていますが、節電を行いながらの介護に関わるうえでより不安に思われることは何ですか?」(n=100,MA)という質問に対して「体温・室温調整」(86%)、「熱中症」(81%)、「水分補給(脱水)」(78%)という結果でした。

<例年、夏場の介護において注意していること>
「例年、夏場の介護において注意していることは何ですか?」(n=100,MA)という質問に対して、「水分補給(脱水)」(92%)、「体温・室温調整」
(70%)、「熱中症」(63%)という結果でした。

<体温・室温調整のご家族へのアドバイス>
「要介護者の夏の体温・室温調整について、具体的には、どのようなことをご家族にアドバイスされていますか?」(n=100,MA)という質問に対しては、「水分補給」(93%)、「涼しい場所の確保」(80%)と回答した方がほとんどでした。

<体温・室温調整の工夫が困難>
「要介護者の夏の体温・室温調整について、工夫をしているが、なかなか難しいこと、あるいは工夫したいが実際にできないことはありますか?」(n=100,SA)という質問に対し、75%の方が「はい」と答えました。

<夏の体温・室温調整が困難な理由>
「要介護者の夏の体温・室温調整について、工夫をしているが、なかなか難しいこと、あるいは工夫したいが実際にできないことはありますか?」という質問に対して「はい」と答えた方(n=75)のフリーアンサーを表1 にまとめました。

大きな理由 例
要介護者本人の問題
・暑さ寒さの自覚が無い(温度調整機能の衰えを含む)
・エアコンが嫌い(体に悪いと思っているを含む)
・エアコンや水分の拒否
・重ね着して脱ごうとしない
・意思疎通ができない
・独居生活
居住環境の問題
・エアコンの取り付けができない
・家の間取りで涼しい場所の確保ができない
・窓を開けても風が通らない
ご家族の問題
・家族の協力が難しい
・家族が大切さを理解(納得)できていない
・介護の専門家が不在のときに管理できていない
・人手不足
経済的な問題
・電気代の捻出が困難
・節電への過剰な意識

<水分補給についてのご家族へのアドバイス>
「要介護者の夏の水分補給についてご家族にアドバイスしていることはありますか?」(n=100,MA)という質問に対しては、「こまめに飲ませる」(80%)が1 位でした。次いで「手の届くところに水分を置く」(62%)、「ミネラルなどが入っているスポーツドリンクを提供する」(48%)でした。

<夏場の水分補給が困難な理由>
「要介護者の夏の水分補給において工夫をしているが、なかなか難しいこと、あるいは工夫したいが実際にできないことはありますか?」という質問に対して「はい」と答えた方(n=50)のフリーアンサーを表2 にまとめました。

大きな理由 例
要介護者のトイレの問題
・トイレが近くなるのを嫌がって飲まない
・トイレを心配して水分を拒否する
要介護者の自覚の問題 ・のどの渇きを感じない
・促しても飲まない
・必要性を感じていない
・認知症の為、理解できない
要介護者の嚥下の問題
・嚥下状態が悪い
・ゼリーにしているので量が食べられない
・摂取時の「むせ」が怖い
その他
・介護以外のときの状況がわからない
・常に誰かがそばにいるわけではない
・個人差があるので判断が難しい
・必要量を飲んでもらうことが難しい

<リリースに関するお問合せ先>
日清オイリオグループ株式会社 広報・IR部 電話 03(3206)5109
〒104-8285 東京都中央区新川1-23-1 URL http://www.nisshin-oillio.com