2011年06月15日

東京工芸大学、電子書籍に関する意識調査

学校法人東京工芸大学   http://www.t-kougei.ac.jp/

 

電子書籍利用のきっかけ 「無料の本」5割半、「ネット広告」4割強

 

利用経験のある電子書籍ストア

1位「電子書店パピレス」 2位「LISMO!」 3位「ドコモマーケットBOOKストア」

 

安価になるなら電子書籍への広告掲載に賛成 5割

 

電子書籍で作家デビューしたい2割強、10代は3割

 

電子書籍への期待 絶版本などの復刊が6割半

 

リッチコンテンツ化したら手に入れたい書籍

「視聴やダウンロード購入ができる音楽誌」3割強

「好みや栄養情報を記録し、お勧めレシピが表示される料理情報誌」女性の3割半

 

リッチコンテンツ化したら読みたい漫画

1位「名探偵コナン」 2位「ONE PIECE」 3位「風の谷のナウシカ」 

「のだめカンタービレ」女性の4割、「けいおん!」10代の4割

 

東京工芸大学(所在地:東京都中野区・神奈川県厚木市/学長:若尾 真一郎)は、2011年5月18日~5月23日の6日間、全国の15歳から59歳の電子書籍を利用したことがある方を対象に「電子書籍に関する意識調査」をモバイルリサーチ(携帯電話によるインターネットリサーチ)で実施、1,000名(男性500名・女性500名、10代・20代・30代・40代・50代各200名)の有効サンプルを集計しました。

 

東京工芸大学では「工学×芸術=∞(無限の可能性)」という考え方のもとで工学部と芸術学部の連携教育及び活動を進めており、これまでメディア芸術・コンテンツ芸術の発展に先導的役割を果たしてきました。今回の調査では、スマートフォンやタブレット端末の普及に伴って市場が広がりつつある電子書籍について、新しいコンテンツの表現方法としての未来を探求することで、デジタルブックにとどまらない電子書籍の可能性を探りました。

◆電子書籍利用のきっかけ 「無料の本」5割半、「ネット広告」4割強

◆電子書籍端末は「複合型」が人気

「所有済み・購入意向あり」の端末 「電子書籍の閲覧が可能なゲーム機」42.3%、「スマートフォン」39.7%

電子書籍の利用経験者である全回答者(1,000名)に対し、「最初に電子書籍を利用しようと思ったきっかけや理由」を複数回答形式にて質問したところ、5割半が「無料の本が読めるから」(54.7%)、4割強が「インターネット広告を見て」(41.0%)と回答しました。費用をかけずに試せるサービスやWeb上の広告が最初のきっかけや利用理由となった方が多いようです。次いで、1割台で「インターネットのニュースや記事を見て」(17.9%)、「好きな時間に本を購入できるから」(14.1%)、「利用している人を見て」(11.9%)、「他の目的で購入した電子端末で電子書籍が読めたから」(11.6%)、「テレビCMを見て」(10.1%)との回答が続きました。

年代別で利用のきっかけになったメディアをみると、10代は「テレビCMを見て」(17.0%)、20代は「インターネット広告を見て」(50.5%)、40・50代は「インターネットのニュースや記事を見て」(40代23.0%、50代25.5%)が他年代より高くなりました。

 

 次に、全回答者に「電子書籍の閲覧が可能な電子端末の購入意向」を質問したところ、『所有済み・購入意向あり』(「既に持っている・購入予約中」と「購入を検討している」の合計)の値が高かったのは、「電子書籍の閲覧が可能なゲーム機(DS、PSPなど)」で42.3%、次いで「スマートフォン(iPhone、Xperia、IS05など)」が39.7%、「タブレット端末(iPad、GalaxyTabなど)」が19.1%、「電子書籍専用端末(Kindle、Readerなど)」が9.1%となりました。電子書籍閲覧に特化した端末よりも、ゲームや通話、Webブラウジングや動画再生などの機能が複合している電子端末の普及が進みそうです。

また、質問した全ての電子端末で男性は女性より『所有済み・購入意向あり』の値が高くなりました。特に、スマートフォンでは男女差が大きくなり、『所有済み・購入意向あり』と回答した男性(44.8%)は女性(34.6%)よりも10.2ポイント高くなりました。

 

◆利用経験のある電子書籍ストア 1位「電子書店パピレス」、2位「LISMO!」、3位「ドコモマーケットBOOKストア」

◆電子書籍を購入したいと思う価格は? 定価の半額以下が68.1%

◆安価になるなら電子書籍への広告掲載に賛成 5割

 

全回答者に「これまでに利用したことのある電子書籍ストア」を複数回答形式にて質問したところ、1位はパピレスが運営する「電子書店パピレス」(23.9%)となり、2位はKDDIの運営する「LISMO!」(20.9%)、3位はNTTドコモの運営する「ドコモマーケットBOOKストア」(17.1%)、4位は楽天の運営する「楽天コミックモバイル」(13.4%)、5位は有志によって運営されている「青空文庫」(12.5%)となりました。

年代別では、10代は「LISMO!」(28.5%)が高く、20代以上は「電子書店パピレス」(20代32.5%、30代28.5%、40代21.5%、50代19.5%)が高くなりました。低年代ほど携帯電話やスマートフォンなどのモバイル端末で利用できるストアの利用率が高く、年代が上がるにつれてパソコンでの閲覧に対応したストアの利用率が高くなる傾向にあるようです。

 

 次に、全回答者に電子書籍を購入したいと思う価格について質問してみました。自由回答形式にて「定価1000円で出版されている本と同じ内容の電子書籍を購入するとしたら、いくらまでなら購入したいと思いますか。」と質問したところ、平均値は578円となりました。定価の半額以下「0~500円」と回答した方が68.1%となり、定価と同額以上の「1000円以上」でも購入したいという方は11.6%にとどまりました。

 

 それでは、電子書籍の購入価格を下げるために書籍に広告を掲載する手法を利用者はどのように捉えているのでしょうか。全回答者に対し、電子書籍の広告掲載についてメリットとデメリットを説明(【メリット】書籍の購入価格が安くなる、または無料になる。【デメリット】データ容量が重くなったり、読書に集中できなくなったりする。)したうえで、意見を聞いたところ、「賛成(計)」が49.8%(「広告掲載に賛成」19.0%と「広告掲載にやや賛成」30.8%の合計)と約半数になり、「反対(計)」の13.1%(「広告掲載に反対」4.6%と「広告掲載にやや反対」8.5%の合計)より36.7ポイント高くなりました。電子書籍が安価になるのであれば広告の掲載を許容する方が多数派のようです。

 

◆電子書籍で作家デビューしたい2割強、10代は3割

◆震災チャリティーの無料書籍「利用した」11.6%

◆売り上げ寄付の電子書籍を利用5.1%、チャリティーの認知者のうち23.6%が参加

電子書籍の登場によって個人出版が容易になり、電子書籍ストアでは実際に個人の作品も公開されています。そこで、全回答者に対し、電子書籍で「自分の作品を出版してみたい」と思うか質問したところ、「既に出版した」1.0%、「出版してみたいと思う」22.7%となり、電子書籍利用者の2割強が電子書籍で作家デビューをしてみたいと考えていることがわかりました。また、年代別で「出版してみたいと思う」と回答した割合をみると、10代では29.5%、20代では26.0%、30代では17.5%、40代では24.5%、50代では16.0%となりました。10代の3割は電子書籍で作家デビューしたい意向があるようです。

また、出版や複製、保存や輸送が紙媒体の本よりも容易である電子書籍の特徴を活かし、電子書籍ストアでは東日本大震災発生後に電子書籍をチャリティーに利用する動きが活性化しました。そこで、全回答者に対し、震災対策や復興支援に役立つ書籍を無料公開した「無料書籍(役立つ情報)」と、被災地への寄付を目的として書籍を販売した「有料書籍(売り上げ寄付)」のそれぞれについて利用したかを質問したところ、「無料書籍(役立つ情報)」を「利用した」のは11.6%、「有料書籍(売り上げ寄付)」を「利用した」のは5.1%となりました。

チャリティー電子書籍の取り組みを認知していた方(「知らなかった」と回答した方以外)のみで見ると、「無料書籍(役立つ情報)」を「利用した」のは43.0%、「有料書籍(売り上げ寄付)」を「利用した」のは23.6%となりました。

 

◆電子書籍への期待 絶版本などの復刊が6割半、利用履歴を記録してパーソナライズ化3割強

読書の形態が紙媒体から電子書籍へ変化することによって利用者が期待しているものはなんでしょうか。全回答者に対し、「電子書籍化されたコンテンツに期待するもの」を複数回答形式にて質問したところ、「絶版本や貴重な資料の販売」との回答が最も多く65.9%、次いで「利用履歴を記録して自分の好みに合った内容が配信される機能」が33.7%、「選択肢で物語が分岐する機能」29.3%、「場面ごとに最適な効果音やBGMの再生」26.5%、「場面ごとに最適な動画の再生」21.9%となりました。絶版本の復刊や貴重な資料の販売を利用者の6割半が期待しているほか、パーソナライズ化されたコンテンツや、ゲーム性や音楽、動画が付与された『リッチコンテンツ化した電子書籍』への期待が窺えました。

男女間で比較すると、「利用履歴を記録して自分の好みに合った内容が配信される機能」と回答した女性(39.6%)は男性(27.8%)より高く11.8ポイント差、「絶版本や貴重な資料の販売」と回答した男性(70.6%)は女性(61.2%)より高く9.4ポイント差になりました。

 

◆リッチコンテンツ化したら手に入れたい書籍 「視聴やダウンロード購入ができる音楽誌」3割強

「好みや栄養情報を記録し、お勧めレシピが表示される料理情報誌」女性の3割半

◆リッチコンテンツ化したら読みたい漫画 1位「名探偵コナン」 2位「ONE PIECE」 3位「風の谷のナウシカ」 

「のだめカンタービレ」女性の4割、「けいおん!」10代の4割

全回答者に対し『リッチコンテンツ化した電子書籍』の例を挙げ、「リッチコンテンツ化したら手に入れたい電子書籍」を複数回答形式で質問したところ、「視聴やダウンロード購入ができる音楽誌」が32.8%で最も多くなりました。次いで「アニメーションや効果音が追加されたアクション漫画・小説」が27.0%、「視聴やダウンロード購入ができる映画情報誌」が26.2%、「GPS機能で今いる地域の情報が表示される旅行ガイド」が25.5%、「好みや栄養情報を記録し、お勧めレシピが表示される料理情報誌」が24.5%、「機能の比較や関連商品を検索・注文できる商品雑誌・カタログ」が24.2%となりました。

男女間で比較すると「好みや栄養情報を記録し、お勧めレシピが表示される料理情報誌」と回答した女性(35.4%)は男性(13.6%)より21.8ポイント高くなりました。

また、年代別で上位5位に挙がった回答をみると、10代の3位には「楽曲の視聴や自動でアレンジができる楽譜」(27.5%)が挙がり、20代の3位には「動画解説付きで、わからないことはメールで質問できる資格勉強本・教科書」(27.5%)、30代の2位には「効果音やアニメーションが追加された子供向けの絵本」(30.0%)、40代の4位と50代の1位には「機能の比較や関連商品を検索・注文できる商品雑誌・カタログ」(40代25.5%、50代29.0%)が挙がるなど、年代間の差が見られました。

 

 それでは、もし音声や動画、CGやアニメーションなどが付いた『リッチコンテンツ化した漫画』が出版されたら、利用者が読んでみたいと思うタイトルはなんでしょうか。全回答者に対し「リッチコンテンツ化したら読んでみたいと思う漫画のタイトル」を複数回答形式で質問したところ、1位は「名探偵コナン」38.8%、2位は「ONE PIECE(ワンピース)」37.9%、3位は「風の谷のナウシカ」36.2%、4位は「ブラック・ジャック」33.7%、5位は「JIN -仁-」31.1%となりました。推理漫画や医療漫画、長編ストーリー漫画などが上位回答に挙がりました。

また、全体の上位5位までに挙がらなかった「のだめカンタービレ」が女性の1位(39.4%)に、「けいおん!」が10代の3位(40.5%)に、「スラムダンク」が20代の2位(37.0%)と30代の2位(35.0%)に挙がりました。性別や年代によっては音楽やスポーツをテーマにした漫画もリッチコンテンツ化したら読んでみたいと考えられているようです。

 

※リサーチ結果は、下記URLでも公開しております。

http://www.t-kougei.ac.jp/guide/release/

 

本学教員コメント 「電子書籍に関する意識調査」について

東京工芸大学芸術学部 マンガ学科講師の木寺良一(きでら よしかず)は、今回の調査結果について次のように述べています。

 

「近年の電子書籍の普及はスマートフォンやタブレット型PCなどの登場によって電子書籍がデスクトップから解放され、いつでもどんな場所でも読める身近なものに変化してきたことが要因の一つだと考えられます。しかし、そのフォーマットはアンケートに挙げられているストアで見られるように、現状では統一されておらず、コンテンツごとに対応するビューアや端末が限定されています。この分野では2014年に仕様確定が予定されているHTML5を中心としたフォーマットの開発も行われており、ブラウザベースでどのような端末でも同じ様に閲覧できるコンテンツの制作も現実味を帯びて来ました。また、現状の電子書籍は紙の本を再現するものが大半を占めています。まだ少数ですが、今後電子書籍独自のリッチなコンテンツも増加してくる事が考えられます。学生の作品制作から電子書籍のメディアを活かした新たな表現が登場してくる事を期待しています。」

◆調査概要◆

◆調査タイトル :電子書籍に関する意識調査

◆調査対象 :ネットエイジアリサーチのモバイルモニター会員を母集団とする

15歳から59歳の電子書籍を利用したことがある方

◆調査期間 :2011年5月18日~5月23日

◆調査方法 :インターネット調査(モバイルリサーチ)

◆調査地域 :全国

◆有効回答数 :1,000サンプル(有効回答母数から1,000サンプルを抽出)

◆実施機関 :ネットエイジア株式会社

調査協力会社 :ネットエイジア株式会社 担当:安高(アタカ)

■■報道関係の皆様へ■■

本ニュースレターの内容の転載にあたりましては、「東京工芸大学調べ」と付記の上、ご使用くださいますよう、お願い申し上げます。

 

■■本調査に関するお問合せ窓口■■

東京工芸大学 学事部広報課

担当 : 林、佐藤

電話 : 046-242-9600/ FAX046-242-9638

e-mail : kikaku@office.t-kougei.ac.jp

■■東京工芸大学 概要■■

東京工芸大学は、1923年(大正12年)、当時メディアの最先端であった我が国最初の写真の専門学校として設立されました。近年、工学部と芸術学部の2学部からなる特色ある4年制大学として、我が国初のアニメーション学科を創設し、更に2007年4月には東日本初となるマンガ学科を増設するなど、常にメディア芸術・コンテンツ芸術の発展に先導的役割を果たしてきました。

現在は、「工学×芸術=∞(無限の可能性)」という考え方のもとで工学部と芸術学部の様々な連携教育及び活動を進めており、創造性とオリジナリティーあふれる人材を育成しています。

 

理事長・学長

学校法人東京工芸大学 理事長 岩居文雄(いわい ふみお)

東京工芸大学 学長  若尾真一郎(わかお しんいちろう)

所在地

法 人 本 部 東京都中野区本町2-9-5

中野キャンパス 東京都中野区本町2-9-5

厚木キャンパス 神奈川県厚木市飯山1583

ホームページ

http://www.t-kougei.ac.jp/

 

設置学部・大学院等 (学生数4,688名:2011年5月1日現在)

【工学部】

メディア画像学科、生命環境化学科、建築学科、コンピュータ応用学科、電子機械学科

【芸術学部】

写真学科、映像学科、デザイン学科、インタラクティブメディア学科、アニメーション学科、ゲーム学科、マンガ学科

【大学院】

工学研究科、芸術学研究科