2011年08月22日

東京工芸大学、家庭での節電に関する意識調査

学校法人東京工芸大学   http://www.t-kougei.ac.jp/
普段の生活の中で省エネを意識83.6%
LED照明を「購入(決定)済み」2割半、「将来購入したい」7割
家庭用太陽光発電機を「将来購入したい」6割強、電力の見える化システムは5割弱
家庭のエアコン設定温度 平均27.2℃
電気を使わず「自然の風」で納涼86.4%、
男性は「水風呂」、女性は「体温を下げる食材」
通風の工夫 「二箇所以上の窓を開ける」9割強
ヒートアイランド対策に「風の道」が有効74.1%、認知者では91.0%
日本はスマートグリッドを普及させて再生可能エネルギーの比率を高めるべき 7割半
東京工芸大学(所在地:東京都中野区・神奈川県厚木市/学長:若尾 真一郎)は、2011年7月25日~7月28日の4日間、全国の20歳から59歳の男女を対象に「家庭での節電に関する意識調査」をモバイルリサーチ(携帯電話によるインターネットリサーチ)で実施、1,000名(男性500名・女性500名、20代・30代・40代・50代各250名)の有効サンプルを集計しました。
 
東京工芸大学は私立大学随一の大型風洞を備えた風工学研究センターを有し、建築物の美しいデザインと確かな風対策を両立させるための研究や、都市計画において「風の通り道」を設計する研究などを実施しており、その成果は全国各地の建築物や都市計画に活用されています。今回の調査では、東日本大震災後の影響に伴う電力不足によって個人の取り組みレベルでも広がりつつある節電の実態を探り、風力をはじめとした自然エネルギーが各家庭でどのように利用され、今後、人々の暮らしにどう根付いていくのかを探りました。
「家庭での節電に関する意識調査」 調査結果
 
◆普段の生活の中で省エネを意識83.6%、女性は88.6%
全回答者(1,000名)に対し、普段の生活の中で省エネをどの程度意識しているか質問したところ、『意識している』が83.6%(「非常に意識している」14.3%と「やや意識している」69.3%の合計)となりました。東日本大震災の影響を受けて電力不足となった今年、8割強が普段から省エネを意識して過ごしていることがわかりました。
また、男女別に比較すると、普段の生活の中で省エネを『意識している』女性は88.6%となり、男性(78.6%)より10.0ポイント高くなりました。居住エリア別では、37年ぶりの電力使用制限令によって大口需要家に使用電力15%削減が義務づけられた関東では、省エネを『意識している』が88.3%、10%超の節電要請があった近畿では『意識している』が85.6%となりました。
 
◆節電を心がけている家電 「エアコン」72.3%、「照明器具」64.7%
◆LED照明を「購入(決定)済み」2割半、「将来購入したい」7割
◆購入意向のある商品「太陽光発電」6割強、「風力発電」3割半、「電気自動車」5割弱
◆“電力の見える化システム”購入したい5割弱、認知者では6割
それでは、各家庭ではどのように節電が実践されているのでしょうか。家庭での電化製品の利用実態と今後の電力関連商品・サービスの購買意向について質問を行いました。
 
全回答者(1,000名)に対し、使用する際に節電を心がけている (または節電の為に使用を控えている家電)を複数回答形式で質問したところ、「エアコン」が72.3%と7割強になりました。次いで、「照明器具」が64.7%と6割半、「テレビ」が41.7%と4割強、「トイレ(温水式洗浄・保温便座)」が38.2%と4割弱で続きました。
男女別にみると、家事で使う家電の「電子ポット」(男性15.2%、女性30.2%)や「炊飯器」(男性8.6%、女性27.0%)、「洗濯機」(男性9.8%、女性23.2%)などで女性が男性より10ポイント以上高くなったほか、「照明器具」(男性60.6%、女性68.8%)や「トイレ(温水洗浄・保温便座)」(男性30.0%、女性46.4%)などの住宅設備に関しても女性の回答が多くなりました。普段の生活の中で何気なく使用する設備についても、女性は節電を意識しているようです。
 
 続いて、全回答者(1,000名)に対し、それぞれの電力関連商品・サービスを購入したいか聞いたところ、【LED照明】では、「既に購入済み・購入決定済み」が24.2%、「将来購入したいと思う」が69.2%となりました。省エネ意識が高い層(普段の生活の中で省エネを「非常に意識している」と回答した方)では「既に購入済み・購入決定済み」が30.8%となりました。今後、省エネ意識の高い層からLED照明の利用が広まっていきそうです。
創エネ関連商品では、太陽光発電機、風力発電機共に「既に購入済み・購入決定済み」の値が1割未満となりましたが、「将来購入したいと思う」の値は、【家庭用発電機(太陽光)】では63.1%と6割強、【家庭用発電機(風力)】は34.4%と3割半となり、創エネ商品へ関心を寄せている様子が窺えました。
その他の商品・サービスで「将来購入したいと思う」の値を見ると、【EV(電気自動車)】48.4%と【電力の見える化システム】47.9%は5割弱となりました。家庭での電力使用量や料金を可視化することができるサービスの【電力の見える化システム】は、「この商品・サービスを知らない」が21.3%と2割超となりましたが、商品・サービスの認知者(「この商品・サービスを知らない」と回答した方を除く)では、「将来購入しようと思う」の値は60.9%となり、認知者の半数以上が関心を寄せていることがわかりました。
 
◆家庭のエアコン設定温度 平均27.2℃
◆エアコン利用時の節電「扇風機で空気を循環」63.6%、角部屋では「窓から入る熱を防ぐ」50.7%、
省エネ意識の高い層は「室外機周辺の風通しを良くする」21.8%
次に、自宅でのエアコン使用状況とエアコン使用時の工夫についての質問を行いました。
 
全回答者(1,000名)に対し、自宅のエアコン設定温度を質問したところ、「28℃」が36.2%で最も高く、次いで「27℃」が23.1%、「エアコンは使っていない」が16.1%で続きました。利用者の平均設定温度は27.2℃(「エアコンは使っていない」と回答した161名を除く加重平均)となりました。クールビズ運動で推奨されているオフィスの室温28℃と同様に、家庭で使用するエアコンも28℃付近に設定している方が多数派のようです。
 
続いて、自宅でエアコンを利用している方(839名)に対し、エアコンの消費電力を抑える為に工夫していることを複数回答形式にて質問したところ、「設定温度を高めにする」が69.8%で最も高く、次いで「扇風機などで空気を循環させる」が63.6%、「使用時間を短くする」が61.7%で続きました。エアコンの使用自体を控える方法や、扇風機やサーキュレーターなどで空気を循環させて冷房効率を向上させる方法が実践されているようです。
住居形態別に比較すると、「カーテンや簾で窓から入る熱を防ぐ」では、集合住宅の角部屋で50.7%、角部屋以外で38.9%となりました。開口部が多い角部屋に居住している方は、窓から入る熱を遮断するための工夫を実践しているようです。また、省エネ意識が高いほど冷房効率を上げる様々な工夫を取り入れており、省エネ意識が高い層では「除湿機能で湿度を調整する」が21.0%、「室外機周辺の風通しを良くする」が21.8%となりました。
 
◆電気を使わず「自然の風」で納涼86.4%、男性は「水風呂」、女性は「体温を下げる食材」
◆通風の工夫 「二箇所以上の窓を開ける」9割強、「扇風機で風の道を作る」6割弱
エアコンの使用を控えても快適に過ごすために、各家庭ではどのような工夫がされているのでしょうか。家庭で実践している納涼方法について質問を行いました。
 
全回答者(1,000名)に対し、自宅で実践している“電気を使わずに涼を取る方法”を複数回答形式で質問したところ、「窓を開けて自然の風を通す」が86.4%と8割半になり、次いで「団扇・扇子であおぐ」が50.0%、「打ち水をする」が20.9%で続きました。
男女別に見ると、「水風呂に入る」では男性15.6%、女性6.4%と男性が9.2ポイント高くなり、「料理に体温を下げる食材を使う」では男性4.4%、女性13.2%と女性が8.8ポイント高くなるなど、男女で実践した納涼方法に差が見られました。また、住居形態別に比較すると、「窓を開けて自然の風を通す」では集合住宅の一階(73.8%)より集合住宅の二階以上(84.2%)が高くなり、「打ち水をする」では集合住宅(13.1%)より一戸建(26.1%)が高くなるなど、住んでいる住宅種別、所在階によっても特徴が見られました。
 
それでは、自然の風を利用して納涼していた方はどのような工夫を実践しているのでしょうか。
“電気を使わずに涼を取る方法”で「窓を開けて自然の風を通す」と回答した方(864名)を対象に、自然の風でより効率的に涼を取るために実践している工夫を複数回答形式で質問したところ、「二箇所以上の窓を開けて風の道を作る」が92.9%と最も高く、次いで「扇風機を使って風の道を作る」が57.5%、「使っていない部屋の空気も入れ替える」が48.4%で続きました。自然の風を利用して涼を取っている方は、室内に風の通り道を作ることを意識したり、建物自体の熱を下げるために使ってない部屋の空気を入れ替えたりといった方法を実践し、効率的に納涼していることがわかりました。
 
◆ヒートアイランド対策に「風の道」が有効74.1%、認知者では91.0%
電気を使わない納涼方法に関連し、ヒートアイランド現象への様々な対策がどの程度有効だと考えられているのか質問を行いました。
 
全回答者(1,000名)に対し、ヒートアイランドに関する説明(ヒートアイランドとは、人口や建物が集中している地域の気温が周辺地域よりも高くなる現象のことです。エアコンや車の排気熱、道路やビルに蓄積される太陽の熱、緑の減少などがその原因とされています。) を行った上で、ヒートアイランドを緩和させるための取り組みは効果があると思うか聞いたところ、「効果があると思う」との値は、【屋上緑化】で85.8%、【打ち水】で85.7%と8割半になりました。そのほか、【ドライミスト(ミスト散布)】では74.6%、【風の道(郊外の空気を都心に導く)】では74.1%と7割半、【自転車通勤】では67.4%と7割弱で続き、ヒートアイランド現象への様々な対策は有効だと考えている方が多数派になりました。
また、【風の道(郊外の空気を都心に導く)】では、「この取り組みを知らない」が18.6%と2割弱になりましたが、取り組みの認知者(「この取り組みを知らない」と回答した方を除く)で他の取り組みと比較すると、「効果があると思う」の値が91.0%で最も高くなりました。屋上緑化や打ち水などのヒートアイランド対策と比べて認知率が低かった「風の道」ですが、家庭で電気を使わず涼をとる方法と同様に、風の通り道をデザインし、街全体の通風をよくすることはヒートアイランド対策に有効だと考えられていることがわかりました。
 
◆日本はスマートグリッドを普及させて再生可能エネルギーの比率を高めるべき 7割半
◆スマートハウスに感じる魅力 「余剰電力の売電」7割、「災害時でも自家発電」が6割半、
「携帯で外出先から家電操作」3割強
電力の効率的な利用や再生可能エネルギー利用の観点から注目が集まる次世代電力網、スマートグリッドについて、電力の消費者である個人はどのように捉えているのか質問しました。
 
全回答者(1,000名)に対し、スマートグリッド普及の効果と問題点を説明〔「スマートグリッド」とは、コンピュータが電力の需要と供給を賢く調整してくれる次世代の送電網のことです。スマートグリッドの普及は発電量が不安定な再生可能エネルギー(太陽光・風力発電など)の利用率向上のために不可欠とされていますが、設備投資に多額の費用がかかって電気代が値上げされることや、家庭の電力消費量などの情報が流出してしまうことが懸念されています。〕 した上で、日本にスマートグリッドを普及させて再生可能エネルギーの比率を高めるべきだと思うか質問したところ、『思う(計)』は74.6%(「そう思う」23.2%と「ややそう思う」51.4%の合計)となりました。設備投資に費用がかかることや情報管理面で不安があることを告知した上でも、再生可能エネルギーの比率を高めるために日本にスマートグリッドを普及させるべき、との回答が多数派となりました。
また、『思う(計)』の値は省エネ意向が高い層では83.3%と8割強となり、また、男性(77.6%)は女性(71.6%)よりも高くなりました。
 
 それでは、消費者はスマートグリッドの普及によって生活にどのような変化を望んでいるのでしょうか。スマートグリッドが普及することで実現する次世代の省エネ住宅、スマートハウスを具体例に挙げ、その魅力について質問を行いました。
全回答者(1,000名)に対し、スマートハウスの説明(「スマートハウス」とは、太陽光発電などの再生可能エネルギーとIT技術を活用し、家庭内の電力消費を最適に制御する住宅のことです。) を行い、提示したメリットの中から魅力に感じるものを複数回答形式で質問したところ、「自動的に光熱費が抑えられる」が72.6%で最も高くなりました。次いで「余った電力を売却できる」が70.6%、「災害時にも自家発電した電気を使える」が64.0%、「再生可能エネルギーで自給自足できる」が51.1%で続きました。消費者は節電や売電で経済的にプラスになることや再生可能エネルギーによる自家発電で緊急時にも安定的に電力を利用できることをスマートハウスのメリットとして捉えているようです。また、エネルギー面だけでなく、「携帯電話などで外出先から家電の操作ができる」が31.2%と3割強となり、スマートハウスの利便性に関しても魅力を感じていることが窺えました。
 
※リサーチ結果は、下記URLでも公開しております。
http://www.t-kougei.ac.jp/guide/release/
本学教員コメント 「家庭での節電に関する意識調査」について
 
東京工芸大学工学部建築学科教授の大場正昭(おおば まさあき)は、今回の調査結果について次のように述べています。
 
古来、日本では夏の蒸し暑さへの対応として、建物に通風を有効に利用してきました。今回の節電対策の一つとして、この伝統的な環境調整技術が見直されています。居住者は扇風機やエアコンの風よりも窓から入る自然の風のほうを快適に感じます。ランダムな自然の風は、皮膚を柔らかく刺激し、発汗蒸散を刺激するからです。風は、ヒートアイランド現象の対策としても有効です。冷たい川風、谷風、山風や海風を都心に導き、人工排熱や建物・地表面の高温化によって都市上空に滞留した熱溜まりを換気します。強風から涼風まで、様々な風の特徴を理解した上で、都市や住宅の熱環境を改善するのに、風の利用法を考えることが大切です。
◆調査概要◆
◆調査タイトル :家庭での節電に関する意識調査
◆調査対象 :ネットエイジアリサーチのモバイルモニター会員を母集団とする
20歳から59歳の男女
◆調査期間 :2011年7月25日~7月28日
◆調査方法 :インターネット調査(モバイルリサーチ)
◆調査地域 :全国
◆有効回答数 :1,000サンプル(有効回答母数から1,000サンプルを抽出)
◆実施機関 :ネットエイジア株式会社
調査協力会社 :ネットエイジア株式会社 担当:安高(アタカ)
■■報道関係の皆様へ■■
本ニュースレターの内容の転載にあたりましては、「東京工芸大学調べ」と付記の上、ご使用くださいますよう、お願い申し上げます。
■■本調査に関するお問合せ窓口■■
東京工芸大学 学事部広報課
担当 : 田川、林
電話 : 046-242-9600/ FAX 046-242-9638  e-mail : university.pr@office.t-kougei.ac.jp
 
東京工芸大学は、1923年(大正12年)、当時メディアの最先端であった我が国最初の写真の専門学校として設立されました。近年、工学部と芸術学部の2学部からなる特色ある4年制大学として、我が国初のアニメーション学科を創設し、更に2007年4月には東日本初となるマンガ学科を増設するなど、常にメディア芸術・コンテンツ芸術の発展に先導的役割を果たしてきました。
現在は、「工学×芸術=∞(無限の可能性)」という考え方のもとで工学部と芸術学部の様々な連携教育及び活動を進めており、創造性とオリジナリティーあふれる人材を育成しています。
 
理事長・学長
学校法人東京工芸大学 理事長 岩居文雄(いわい ふみお)
東京工芸大学 学長  若尾真一郎(わかお しんいちろう)
所在地
法 人 本 部 東京都中野区本町2-9-5
中野キャンパス 東京都中野区本町2-9-5
厚木キャンパス 神奈川県厚木市飯山1583
ホームページ
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設置学部・大学院等 (学生数4,688名:2011年5月1日現在)
【工学部】
メディア画像学科、生命環境化学科、建築学科、コンピュータ応用学科、電子機械学科
【芸術学部】
写真学科、映像学科、デザイン学科、インタラクティブメディア学科、アニメーション学科、
ゲーム学科、マンガ学科
【大学院】
工学研究科、芸術学研究科