2014年01月22日

日清オイリオグループ 第6 回在宅介護事情調査 要支援・要介護者の92%に筋力の衰え 自発的に身体を動かしている人は33%と少数 ~急がれるサルコペニア対策 効率のよい栄養補給も必要~

日清オイリオグループ株式会社   http://www.nisshin-oillio.com

日清オイリオグループ株式会社(社長:今村隆郎)は、トロミ調整食品などの高齢者・介護対応食品を製造・販売しております。このたび、2011 年より定期的に行っている在宅介護事情調査の第6 弾として、在宅介護に携わる介護従事者(訪問介護員・介護福祉士)100 名を対象に『要支援・要介護者の筋力に関する実態調査』を実施いたしました。調査の結果、要支援・要介護者の92%に筋力の衰えが見られる一方で、自発的に身体を動かしている要支援・要介護者は33%と少数でした。また、筋肉量の減少を示す「サルコペニア」を認知している介護従事者は19%と少なく、様々な健康障害を招くサルコペニアの対策については、要支援・要介護者のご家族はもちろんのこと、介護従事者への啓発も急ぐ必要がありそうです。

サルコペニアとは?
狭義では加齢に伴う筋肉量の低下、広義ではすべての原因による筋肉量・筋力・身体機能の低下を意味します。筋肉量・筋力ともに低下すると、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の低下、身体機能の低下により疲れやすくなるだけでなく感染症にかかりやすくなり、最終的には死のリスクが高くなります。

● 要支援・要介護者の92%に筋力の衰え
要支援・要介護者の筋力の衰えを感じることはありますか、という質問では、介護従事者の92%が要支援・要介護者の筋力の衰えを「感じる」と回答し、ほとんどの要支援・要介護者に筋力の低下が見られることが分かりました。【図1】
● 自発的に身体を動かしている要支援・要介護者は33%と少数
要支援・要介護者の運動習慣(身体を動かすこと)について、「自発的に身体を動かしている」と回答した介護従事者は33%と少数で、3 人に1 人しか自発的に身体を動かしてないという結果でした。筋力が衰えながらも、積極的に身体を動かしている要支援・要介護者は少ないようです。【図2】
● 筋肉量の減少を示す「サルコペニア」 介護従事者の認知度は19%に留まる
「サルコペニア」について、言葉の意味まで理解している介護従事者はわずか19%、肥満により筋肉量が減少している「サルコペニア肥満」については13%と更に少なく、介護従事者であっても、「サルコペニア」の概念が広く浸透していない現状が明らかになりました。【図3】【図4】
● 筋肉をつけるための食事の工夫・アドバイス 補助食品の利用推奨は15%
要支援・要介護者の筋肉をつけるための食事の工夫・アドバイスでは、「食べやすいように、柔らかさを考慮する」(42%)、「1 食に提供する料理の品数を増やす」(31%)、「少量で高エネルギーの食事がとれるような献立の工夫をする」(30%) など、しっかりと食べるための工夫やバランス良く食べるための工夫が上位を占める一方で、筋肉をつけるために必要なエネルギーやたんぱく質が多く含まれた補助食品の利用を勧めている介護従事者は、わずか15%に過ぎませんでした。【図5】

≪専門家のコメント≫
若林 秀隆(わかばやし ひでたか)先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター リハビリテーション科 助教

【経歴】
横浜市立大学医学部卒業
日本赤十字社医療センター内科研修医、横浜市立大学医学部附属病院リハビリテーション科、横浜市総合リハビリテーションセンターリハビリテーション科、横浜市立脳血管医療センターリハビリテーション科、済生会横浜市南部病院リハビリテーション科医長を経て平成20 年4 月より現職

92%の介護従事者が要支援・要介護者の筋力の衰えを感じていることより、要支援・要介護者のサルコペニア対策は重要な課題といえます。しかし、サルコペニアとサルコペニア肥満の認知度が低いことより、筋力の衰えの原因が加齢、活動(身体活動量低下による廃用性筋萎縮)、栄養(エネルギー摂取不足による飢餓)、疾患(急性炎症・侵襲、慢性炎症・悪液質、神経筋疾患など)であるということも、あまり認識されていないと思われます。サルコペニアという言葉、意味、考え方の重要性を、介護従事者にも広めなければいけません。

サルコペニア対策として、最も重要なのは運動(筋力トレーニング、有酸素運動)と栄養(十分なエネルギーとたんぱく質摂取)の併用です。運動面では、ご家族やヘルパーの助言があれば身体を動かしているという方が最も多いので、適切な運動のアドバイスを実際に現場で行うことが大切です。栄養面では、エネルギーとたんぱく質が多い補助食品の利用が簡単で効果的ですので、より多くの介護従事者に現場でアドバイスしていただきたいと考えます。

≪調査概要≫
■調査実施日 :2013 年11 月29 日(金)~12 月4 日(水)
■調査方法 :インターネット調査
■調査対象者 :60 歳以上の要支援・要介護者の在宅介護に携わっている
介護従事者(訪問介護員・介護福祉士)100 名

サルコペニアに関するニュースレターをダウンロードいただけます
日清オイリオグループ株式会社では、介護に携わる方に関心を持っていただきたい事柄について専門家にインタビューを行い、その内容を取りまとめたニュースレターを発行しています。今回コメントを頂戴した若林秀隆先生にご監修頂いたニュースレターを、以下URL よりダウンロードいただけます。

シニアライフに関するNewsletter No.3
「リハビリテーション栄養からみたサルコペニア対策」要介護者と寝たきり人口の増加に伴い急増する健康障害「サルコペニア」に焦点を当て、サルコペニアの概要と対策について紹介。(2013 年3 月21 日発行)
http://www.nisshin-oillio.com/goods/support/pdf/letter_3.pdf

【図1】要支援・要介護者の筋力の衰え

「要支援または要介護者の筋力の衰えを感じることはありますか」(n=100,SA)という質問に対し、92%の介護従事者が「非常に感じる」「やや感じる」と回答しました。

【図2】要支援・要介護者の運動習慣

「要支援または要介護者は、自発的に運動(身体を動かそうと)していますか」(n=100,MA)という質問に対し、「自発的に身体を動かしている」と回答した人は33%と少数でした。筋力が衰えながらも、積極的に身体を動かしている要支援・要介護者は少ないようです。

【図3】サルコペニアの認知度
【図4】サルコペニア肥満の認知度

「筋肉量が低下していることをサルコペニアといいますが、この言葉を知っていましたか」(n=100,SA)という質問に対し、言葉の意味まで理解している介護従事者はわずか19%でした。また、「肥満で筋肉量が低下していることをサルコペニア肥満といいますが、この言葉を知っていましたか」(n=100,SA)という質問では、更に少なく13%と、介護従事者であっても「サルコペニア」の概念が広く浸透してない現状が明らかになりました。

【図5】筋肉をつけるための食事の工夫・アドバイス

要支援・要介護者の筋肉をつけるために、どのような食事の工夫・アドバイスをしていますか」(n=100,MA)という質問したところ、「食べやすいように、柔らかさを考慮する」(42%)、「1 食に提供する料理の品数を増やす」(31%)、「少量で高エネルギーの食事がとれるような献立の工夫をする」(30%)と続き、筋肉をつけるために必要なエネルギーやたんぱく質が多く含まれた補助食品の利用を勧めている介護従事者は、わずか15%でした。

≪リリースに関するお問合せ先≫
日清オイリオグループ株式会社 コーポレートコミュニケーション部 広報・IRグループ
TEL 03(3206)5109 〒104-8285 東京都中央区新川1-23-1 URL http://www.nisshin-oillio.com