2022年10月04日

ハイランド、クラウド移行の実践ガイドを公開

Hyland Software, Inc.   https://www.hyland.com/ja-JP

内容:

クラウドへの移行と導入が急速に進むという予測が現実のものとなりました。クラウドコンピューティングは、2020 年以前にも強い関心を集めていましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行以来、ますますその傾向が強まっています。

Forrester 社のレポート「The State of the Cloud in the U.S., 2022」によると、米国では現在、市場の 94% で少なくとも 1 つのクラウドが導入されています。導入されているのは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、ホステッドプライベートクラウドなどのソリューションですが、その大半がハイブリッドクラウドまたはマルチクラウドの形で利用されています。

現在もさまざまなクラウドソリューションの評価が行われているので、クラウドネイティブソフトウェアや PaaS(Platform-as-a-Service)の導入はますます加速すると思われます。実際、米国では企業のインフラ意思決定者の 74% が、オンプレミスまたはパブリッククラウド環境の PaaS でコンテナを導入していると回答しています。

重要な企業データをクラウドに移行する機会がかつてないほど増えていますが、大切なのは移行に伴う影響を十分に理解することです。

クラウド移行とは?

クラウド移行とは、既存のデータセンターにあるデータ、プロセス、アプリケーションをクラウドベースのデータセンターに移すことです。移行元は別のクラウドであったりオンプレミスソリューションであったりしますが、移行先は常にクラウド環境となります。

通常、クラウド移行では、以下の 3 つのカテゴリのいずれかのクラウドコンピューティングインフラ環境に移すことになります。

クラウドへのアプリケーションの移行

クラウドへのアプリケーションの移行は、クラウド移行よりも具体的なコンセプトです。ソフトウェアアプリケーションおよびそのすべてのデータとプロセスを新しいクラウドコンピューティング環境に移行することを意味します。大抵、移行元はオンプレミスのレガシーサーバーです。

アプリケーションをクラウドに移行する理由はさまざまです。たとえば、クラウドコンピューティングの ROI が、オンプレミスのハードウェアやソフトウェアのコストをすぐに上回るといったことが考えられます。

例:  オンプレミスからクラウドへのアプリケーションの移行

ハイランドの OnBase コンテンツサービスプラットフォームを長年ご利用いただいているお客様の多くは、オンプレミスでアプリケーションの利用を開始しました。しかし今では、OnBase アプリケーションをハイランドクラウドに移行すると、サーバー管理業務はクラウドプロバイダが行うようになります。また、クラウドアーキテクチャは OnBase の配備向けに設計されています。

ほかにも、アプリケーションを適切なクラウドプロバイダに移行すると以下のようなメリットが得られます。

  • 強固なディザスタリカバリリソース
  • ほぼあらゆる場所でデータが利用可能
  • 迅速なインシデント対応
  • クラウドセキュリティに関する専門知識
  • アプリケーションに特化した専門知識

クラウド移行の 7 つのメリット

ROI から総所有コスト(TCO)に至るまで、クラウドへの移行や将来のクラウドコンピューティングインフラへの投資により、時間とコストを削減できることがわかっています。また、IT チームが自分の専門分野(複雑なクラウドインフラの管理ではなく)に集中できるようになるため、チームの力が強化されます。

クラウド移行は、次のようなメリットをもたらします。

  1. 効率的な最新化
  2. IT 人材の有効活用
  3. 分散した職場環境の強化
  4. 柔軟性と俊敏性の向上
  5. セキュリティおよびプライバシー管理の効率化と強化
  6. コストの削減
  7. イノベーションとビジネスソリューション開発の迅速化

 

  1. 効率的な最新化

オンプレミスのハードウェアを最新の状態に保つには、時間とコストがかかります。また、ソリューションの追加や修正を行う際は長い時間がかかったり膨大な IT リソースが必要になったりする可能性があります。

新しいビジネスソリューションと既存のビジネスソリューションの調整は、組織全体で迅速かつ効率的に実行できなければなりません。そのための最適な方法がクラウドへの移行なのです。

  1. IT 人材の有効活用

ビジネスニーズの激しい変化やテクノロジーの多様化によって、社内の専門家チームが手一杯になり、業務のサポートを十分に行えなくなっている場合があります。また、現在の雇用市場では、オンプレミスの専門家や経験豊富な人材が少ないため、なかなか採用できず、人材の慰留も難しく、コストがかかるなど、状況が厳しくなっています。

クラウドへ移行して主要なクラウドプロバイダを活用すれば、IT チームはクラウドインフラの学習や運用に貴重な時間や知識を費やすことなく、自分の専門分野に注力し、業務をサポートできるようになります。

たとえば、AWS のクラウドに移行すれば、AWS インフラの堅牢性と、AWS を適切に活用できる専門知識を持った人材を手に入れることになります。

  1. 分散した職場環境の強化

職場の分散化を採り入れることは、従業員の採用と確保においてきわめて重要であることがわかっています。安全なクラウドソリューションに移行することで、以下のように、全社的なつながりを維持するためのツールを確保できます。

  • 会社のネットワーク、コンテンツ、プロセスへのアクセス
  • 会社の機密情報でも安全に共有できるツール
  • オンラインでの採用、オンボーディング、人事業務
  • クラウドベースのリアルタイムのコミュニケーションプラットフォーム
  1. 柔軟性と俊敏性の向上

デジタル化によるデータの増加で、データの保存と拡大に対応する場所が必要となっています。

主要なクラウドプロバイダは、アプリケーション、Web、処理の拡大をサポートするためのストレージ領域や追加のサーバーなどを提供しており、飛躍的な成長の機会が得られます。そのため、組織の拡大に伴ってストレージの残量を心配するのは過去の話となりました。

また、応答性に優れた標準ベースのクラウドアーキテクチャにより、ユーザーは最新のさまざまなデバイスを柔軟に利用して効率的に業務をこなせるようになり、時間と場所を問わずデータにアクセスして処理できるようになりました。

  1. セキュリティおよびプライバシー管理の効率化と強化

主要なクラウドプロバイダは、さまざまな業界で厳しいセキュリティニーズに対応しています。クラウドに移行すれば、コンテンツのコンプライアンス対応、保護、暗号化、復元について心配することなく、事業計画の推進に注力できるようになります。

> 詳しくはこちら | Mitigating disaster: How the cloud ensures clear skies ahead

  1. コストの削減

オンプレミスでソリューションをホストしていると、リスクがあるだけではありません。膨大な資本コスト、立ち上げコスト、そしてインフラ維持の継続的な運用コストが必要になります。

クラウドに移行すれば、多くのコストを削減できます。たとえば、ハードウェアやネットワーク機器、人件費や残業代、データベースのメンテナンス、物理的および論理的なセキュリティ対策、さらにはソフトウェアのアップグレードなどのコストです。

クラウドの運用が可能になれば、そのコストを純粋に運用コストとして予算に組み込めるようになります。

  1. イノベーションとビジネスソリューション開発の迅速化

クラウドへの移行は、イノベーションを推進する機会をもたらします。クラウドに対応した組織は、新しいソリューションを迅速に構築し、ビジネスプロセスを最適化し、市場の変化にすばやく対応して競争力を高めることができます。

クラウド移行の検討事項

クラウドに移行する方法や時期を評価するにあたっては、現在の運用状況、能力、および将来のテクノロジーの見通しに対する現実的な理解が重要になります。

まず以下の点を検討することから、クラウド移行の評価を始めてください。

  • クラウド戦略またはビジョンがすでにあるか?それはどのようなものか?
  • パブリッククラウドベンダーは選定したか?
  • アップグレードの管理は、現在どのような方法で行われているか?
  • クラウド内にアプリケーションはあるか?ほかの SaaS、PaaS、IaaS ソリューションを利用しているか?
  • 最後にハードウェアを更新したのはいつか?予定している更新はあるか?
  • 現在のディザスタリカバリまたは事業継続アプローチはどのようなものか?
  • インフラやハードウェアを現在管理しているのは誰か?
  • 現在のインフラはセキュリティやコンプライアンスのベストプラクティスに対応しているか?

コンテンツをクラウドに移行するためのチェックリスト

クラウド移行は難しい問題です。データセンターやそれに付随するあらゆるものが、組織にとって重要な資産だからです。

主要なクラウドプロバイダやそのパートナーは、クラウド移行に関する詳細なロードマップを提供しているはずです。

たとえば、ハイランドの OnBase のお客様がハイランドクラウドに移行する準備ができている場合、弊社のチームがプロセスを設定します。ここでは、コンテンツをクラウドに移行するための全体的なチェックリストをご紹介します。

コンテンツのインベントリを完成させる

企業に変革をもたらすクラウド移行を始める前に、移行予定のすべてのコンテンツを見直しましょう。クラウドの専門家は、以下のことを推奨しています。

コンテンツのインベントリを作成する

  • クラウドに移行するものと残すものを判断し、その理由を示す
  • コンテンツがビジネスにもたらす価値を判断する
  • コンプライアンス要件の対象となるコンテンツを特定する

このような評価プロセスに役立つさまざまな分析アプローチ、自動化ツール、専門会社が存在します。不要なコンテンツ、古いコンテンツ、価値が低いコンテンツは、法律に基づいた形で破棄する必要があります。

コンテンツがコンテキストに沿っているか確認する

  • 適切なメタデータを使用してコンテンツを充実させる(不要なコンテンツや利用されていないコンテンツは削除する)
  • メタデータを使用して、コンテンツへのアクセスの管理、プロセスでのコンテンツの移動、情報ガバナンスの自動化を行う

コストと時間を考慮して、この処理をクラウドへのコンテンツの移行前に行うのか移行後に行うのかを判断してください。

クラウドに移行するコンテンツのコピーをクラウドプロバイダに送信する

クラウドに移行するコンテンツを決定したら、そのコンテンツをクラウドプロバイダに送信して、クラウド上の新しいホームで設定を開始できるようにします。

> ヒント:  どのデータを共有したのかを忘れないようにしましょう。本稼働開始前の更新中に、重複したデータを送信しないようにしてください。

広範なテストを行う

クラウドソリューションのテストの準備ができたら、アクセスしてテストを開始します。自社で行った変更を追跡し、クラウドプロバイダが行った変更との調整を行い、これらの変更が本稼働開始時に反映されるようクラウドプロバイダと協力してください。

本稼働開始日のスケジュールを設定する

すべてのテストが完了し、ソリューションが期待どおりに動作するようになったら、本稼働開始日を決めます。優れたクラウドパートナーであれば、夜間や週末など、組織にとって最も都合がいい日を本稼働開始日に設定して、日常業務への混乱を最小限に抑えようとするはずです。

> ヒント:  テストの完了前に本稼働開始日を決めてしまわないようにしましょう。予期せぬ遅延が起こってスケジュールの変更を迫られる事態を回避できます。

利用開始の準備をする

オンプレミスソリューションでの作業をすべて停止します。オンプレミスからクラウドへのクリーンな移行が望ましいため、最終的な移行作業中にオンプレミスソリューションでトランザクションを作成しないようユーザーに要請してください。

> ヒント:  最新のデータベースバックアップと残りのディスクグループデータをアップロードします。通常は、このデータのサイズが、本稼働開始スケジュールに最も大きな時間的影響をもたらします。

最終テストを行う

コンテンツがすべて配置されると、データベースが復元され、初期テストの段階で判明したすべての変更が適用されます。本稼働開始前に最後の環境テストを実施し、すべてが期待どおりに動作していることを確認することをおすすめします。

本稼働に入る

あとは簡単です。クラウドへの移行によるメリットを活用できるようなります。

クラウド移行計画とは?

調査結果をご覧になった方は、コンテンツやプロセスをクラウドに移行する企業がどのような準備をしておくべきか、はっきりしたことと思います。

次に行うべきは、信頼できるクラウドプロバイダとの提携です。大手コンテンツサービスプロバイダのハイランドは、AWS と連携しながら、クラウド配備と移行を拡大するお客様を支援しています。

詳しくは、コンテンツの活用ハイランドクラウドへの移行ハイランドと AWS の戦略的アライアンスに関する記事をご覧ください。

AWS でのハイランド

ハイランドは AWS のマーケットプレイスに登録されています。AWS でハイランドを購入すれば、以下のようなメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

・調達を効率化する

・管理機能を実行し、プロビジョニングを自動化する

・ソフトウェアの予算を管理して、コストの透明性を確保する